航空部用語集

機体用語

(注・重要度は、その用語が各係りにおいてにいかに重要かを表したものである。)

1・・・べつに知らなくても良い。
2・・・知らなくても良いが、知っていると便利。
3・・・そのうち知ることになる。
4・・・かなり重要で、知ってほしいこと。
5・・・航空部に入るうえでまずおぼえましょう。


機材 自動車 その他


ASK13(機体関係重要度5)・・・全身ハフ張りの複座練習機。アレキサンダー・シュライハー社製。久住には2機存在する
。戦前に設計されたという割にはよくできていて、機体の動きをダイレクトに伝えることができる操縦装置は今もなお人気がある。最良滑空比は28、失速速度は56km。

ASK21(機体関係重要度5)・・・全身がFRPで覆われている、高性能の練習用複座機。おもに白川滑空場で使われている。我が部も一機所有しており、その機体は白雲と命名された。滑空性能は非常によく、そこらの単座機ともひけをとらないほどである。滑空比は34、失速速度は62km。

アドバースヨー(機体関係重要度5)・・・エルロンを倒すことによって働く副作用。機首が、倒した操縦桿とは反対方向にふられる。この原因は、操縦桿を右に倒すと、右のエルロンが上がり、左のエルロンが下がるのだが、右翼はエルロンが上がっているせいで、気流に対する迎え角が小さくなり、揚力(これが下がるおかげで機体は右に傾く。)、抗力ともに小さくなる。反対に、左翼は揚力、抗力が大きくなり、機体の左側が右側よりも遅くなってついてきてしまう。よって、機首が反対側にふられるのである。

右翼(機体関係重要度5)・・・1.右の翼。右というのはおはしを持つほうであり、グライダーの立場になって考えなければいけない。グライダーがはしを持って食べているところを想像すれば、容易にどちらが右翼か見当がつくであろう。  2.保守・国粋派。これの街宣車はみんなにこわがられているが、多種多様でなかなかユニークな物もある。

FRP(機体関係重要度4)・・・Fiber Reinforced Plasticsの略で、いわゆる繊維強化プラスチック。エポキシ樹脂やカーボン、ケブラー等を使っている。最近のグライダーはこれでできているものが多い。機械的強度、加工性に優れている。

エルロン(機体関係重要度5)・・・左右の翼についている操縦装置で、主に、機体を左右に傾けるときに使う。操縦桿を右に倒すと機体が右にバンク(傾き)し、左に倒すと逆になる。ただし、実際に飛んでいるときは、これを単独でつかうことはほとんどなく、ラダーと共有して使う。あと、エルロンだけだとアドバースヨーが発生する。

エレベーター(機体関係重要度5)・・・1.グライダーの頭を上下に動かす運動を司る操縦桿。水平尾翼についている。とくに副作用はなく、使うときは単独で使う。操縦桿を手前に引くと、エレベーターが上がり、尾翼の揚力が下がって機首が上を向く。このままだと、空気の坂を上っている状態になるので、序々に速度は落ちてきて失速ということもある。操縦桿を奥に倒すと逆になる。 2.デパートや大学内で、階ごとにワープできる不思議な乗り物。体重制限があり、自分が乗るときにブーッとなると相当ブルー。

滑空比(機体関係重要度5)・・・グライダーの滑空する翼が、静大気(風のない状態)中を直線滑空した場合の、高度差と飛行距離の比。L/D。滑空比20の機体の場合、高度差100メートルで2000メートルの距離を飛べる計算になる。しかし、実際には無風状態はあり得ないので、この数値を飛行の参考にする時は、地形や気流の変化などを考慮しなければならない。つまり、あくまで目安であって、この値を盲目的に信じちゃダメヨ。

グライダー(機体関係重要度5)・・・エンジンなしで飛行できる航空機。ウインチを使い曳航索を巻きとって、凧をあげる時のようにグライダーを引き上げるウインチ曳航と、軽飛行機に引っ張らせる飛行機曳航、高出力の自動車の力を借りて引っ張る自動車曳航のいずれかの方法で離陸する。予定高度に達したら、曳航索から離脱して滑空をはじめる。日本で飛行練習をするためには、14歳以上であり、航空身体検査を受け、運輸省航空局から滑空機操縦練習許可証をもらうことが必要。ただし、同乗するだけなら何の資格もいらない。航空部に入り、まず複座機で教官とともに飛び操作を覚え、空中感覚をつかんだうえで、ソロフライト(単独飛行)を行う。常に教官の指導の下で飛ばなければならない”練習生”を卒業し、自分一人の技術と知識で安全に飛べる実力をつけたら、国家試験を受けて、ライセンスを取得する。これをとれば晴れて一人前。あらかじめ定められた距離、コースをいかに速く飛ぶかを競うのが、競技の主流。曳航なしで離陸できるようエンジンを付けたモーターグライダーは、上空でエンジンを切り、静かに滑空を楽しむことができる。

サーマル(機体関係重要度5)・・・グライダー乗りが掴みたくて掴みきれない自然の最高産物。太陽に暖められた地表の空気の上昇により発生する熱上昇風。グライダーの高度をあげてくれる数少ない御人。ただ、性格はあまりよくなく、かなりの気分屋さん。しかし、機嫌がいいときは面白いほど僕らを上げてくれることも事実。なお、教官になるともれなくサーマル発見レーダーがついてくるらしい。

左翼(機体関係重要度5)・・・1.左の翼。左というのはお茶碗を持つほうであり、グライダーの立場になって考えなければいけない。グライダーが茶碗を持って食べているところを想像すれば、容易にどちらが左翼か見当がつくであろう。  2.改革・革新派。九大はかつて新左翼運動の中枢であったが今はどのセクト(派閥)も衰退しきっている。

GM(機体関係重要度4)・・・1.ゴルフ・マイクと読み、久住名物の赤のASK13。JAナンバーは2189、筆者が生まれる前からがんばっている、オールドグライダー。  2.ジェネラルモーターズとよび、世界で最も大きな自動車会社である。

彗星(機体関係重要度4)・・・福大が所有しているASK21。計器類は白雲とじゃ比べ物にならないほど多い育ちのいいおぼっちゃん。JAナンバーは2513。垂直尾翼に魔女が描いてある。

スパイラルダイブ・・・高い高度を保持しているのだが、おしっこ等でどうしても地上に戻りたくなったときに使う技術。機速を増大させた急旋回。ついでにダイブブレーキまで開く。外から見るとくるくる回って楽しそうだが、乗ってるほうはたまらない。ただ、操縦者が意図しないスパイラルダイブもたまに見かける。


スピン・・・いわゆるきりもみ。片翼だけ失速した状態。これも高度を処理する技術である。離脱直後で機速がまだついてないときに、第一旋回をした某人物は、速攻きりもみ男とよばれるようになった。このように、操縦者の意図しないスピンもたまにみかけるのでご用心。

旋回失速・・・速度がたりない状態での旋回、放っておくと、操縦者の意図しないスパイラルダイブやスピンにつながるので、この段階からすぐに修正することをお勧めする。

ソアリング・(機体関係重要度5)・・・グライダーで上昇気流を利用して高度を上げ、長時間滞空すること。斜面にそって吹き上がる斜面上昇風の上昇空域で飛ぶリッジソアリング、サーマルをつかんで高度を上げるサーマルソアリング、高い山などの障害物などにぶつかった風が波状に吹く、その上昇部分を使うウエーブソアリング等が行われる。とにかくグライダーの醍醐味。この味をおぼえたら忘れられません。

対気速度・・・グライダーが大気に対してどれほどの速度で滑空しているかを表す指標。機体についてる速度計には、これが表示される。対地速度とは相対的な関係にあるのだが、このことはアインシュタインの一般相対性理論を使うまでもなく、ガリレイの相対原理でたやすく示される。

対地速度・・・大気速度とは違って、グライダーの地面に対する速度。よって、風が強いときは上空で速度一定で旋回していても、地上から見たら、ある方向にはすごい速度で動いているのに、反対の方向に回るとほとんど止まって見えるということがおこる。誰か、グライダーに対地速度計を付けません?

ダイブブレーキ
(機体関係重要度5)・・・翼の中に収納されている空気抵抗を増やすための板。着陸時などに、これを用いて高度を下げたりする。

ハウストレーラー・(機体関係重要度5)・・・機体を保存、および運搬のためだけに開発されたグライダーの移動式ホテル。パジェロ等で引っ張って運ぶこともできるが、日本の国道では道路交通法違反になるらしい・・・。最近、法の網をくぐって、これにナンバーをつけることがハヤリらしい?

白雲・・・九大航空部が所有するASK21。数年前、念願のハウストレーラー(グライダーの収納箱)が大学より与えられた。JAナンバーはJA2509。2004年3月にドイツでのオーバーホールから帰還。

発航・・・機体を飛ばすこと。一般的に訓練時間に対するこの数が訓練効率をあらわすらしい。よって、サーマルさまのご機嫌がよろしいときは、訓練効率は悪くなる。

フォアードスリップ・・・着陸の際、余分な高度を急速に処理する技術。具体的には、風下側に機首をむけつつ、反対側の翼をやや下げ気味にする。こうすることでむりやり横滑りさせるのだ。ただ、操縦者が意図しないフォアードスリップもたまに見かける。

横滑り・・・機体が気流に対して、横(斜め)に滑っていること。フォアードスリップ等でわざとすべらせることはあるのだが、旋回中にこれをやるのはあまりにも効率が悪い。旋回練習ではボールゲージヨーストリンガーを見て迅速に対応しましょう。なお、旋回の外側に滑ることを外滑り、内側に滑ることを内滑りという。

ヨーストリンガー(機体関係重要度4)・・・グライダーの計器の中で最も原始的な装置。キャノピーにヒモが貼り付けてあるだけ。それでも立派に機体の滑りを表現してくれるスグレモノ。

ラダー(機体関係重要度5)・・・垂直尾翼についている操縦装置。ペダルと連動してあり、左足のペダルを踏むと左に、右を踏むと右に機首が向く。左に機首が向くということは、左の翼が右の翼よりも遅くなるということであり、この結果左の翼の揚力が低下、
よって機体が左にバンクする。この副作用をアドバースローという(ウソ)。

レリーズ(機体関係重要度5)・・・索と機体を連結する装置。機体内にあるレバーを引いたり、異常な引っ張り荷重がかかると索が外れる仕組みになっている。

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